ケータイ小説 野いちご

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早く気づけよ、好きだって。

Lovers*2
それでもきみと


入学して二ヶ月も経てば、クラスメイトの顔と名前が一致するようになった。それだけじゃなくて、誰と誰が仲が良いとか、大人しいグループや明るいグループなどのカースト制度の分類が嫌でもわかるようになってくる。

皐月は明るくて可愛くてクラスでも人気者だけど、私は至って平凡で普通。誰とでも仲良くできるけど、自分が人気者だとは思っていない。

皐月には同じクラス以外にも友達がたくさんいて、よくうちのクラスへやってくる。皐月を通じて私も仲良くなった。

皐月の友達は、みんな明るくて可愛くておしゃれで女子力が高い女の子ばかり。

その中でも特に目立っているのが大上 麻衣(おおうえ まい)ちゃんという、リーダー格の女の子。麻衣ちゃんは話題が豊富で人を笑わせることが大好き。大人っぽく見えるけど、お茶目な一面もあったりと、いつも輪の中心にいる。

手先も器用でメイクも上手だし、腰まで伸びた茶髪を綺麗に巻いてから、さらにそれをハーフアップにしている。ゆるふわの髪の毛と、うるうると潤んだたれ目がとても印象的。

さらに背が高くてスタイルもよくて、モデルみたいに手足がスラリと長い。モデル事務所にスカウトされたこともあるんだとか。

麻衣ちゃんはファッション雑誌を見ながらメイクや髪型の研究をしたり、トレンドの服やバッグ、アクセサリーなど、流行りを取り入れたおしゃれに力を入れている。

学校では校則が厳しいので外見のおしゃれができない分、ポーチやペンケースなどの持ち物やサブバッグを可愛くしたり、スクールバッグに今流行りのスパンコールがあしらわれたチャームを付けるなどして、おしゃれを楽しんでいる。

そんな麻衣ちゃんを見てマネする子も多く、麻衣ちゃんは学年の中でもみんなの憧れの存在なのだ。

当然のごとく麻衣ちゃんはモテる。私が知ってるだけでも入学してから五人には告白されていると思う。

だけどビックリすることに彼氏はいないらしい。

恋バナになった時、私にはまだそんな人がいないから入っていけるはずもなく、黙ってみんなの話を聞いているだけなんだけど。

手を繋いだりキスをした……なんて話を聞くと、未知の世界すぎて赤面してしまう。

皐月の友達はみんなすごく大人で、私とは違う人種のよう。置いてけぼり感が否めなくて焦ったりもする。

でもだからって、彼氏にする人は誰でもいいわけじゃない。

やっぱり、心から好きになった人と付き合いたいなぁ。

好きな人……か。

なぜか視線が勝手に隣の席の水野君に向く。水野君は耳にイヤホンをしながら机に突っ伏していた。

窓から入ってきたさらっとした風が、無造作にセットされた水野君の髪の毛を揺らす。

『俺と関わっても、つまんないからやめとけ』

そう宣言された日から一ヶ月以上が経っている。水野君はその言葉通り私や他のクラスメイトと絡むことなく、必要最低限の関わりしか持っていない。

あれ以来なんとなく気になって水野君を見ることが多くなった。

「桃ちゃんにも誰か紹介してあげようか?」

え?

急に話題を振られて我に返る。水野君に向けていた視線を慌てて元に戻した。

「ダメダメ、桃ちゃんにはイケメンな幼なじみがいるじゃん。うちのクラスでは、二人が付き合ってるって噂になってるよ」

「須藤君だっけ? ほーんと、カッコいいよね!」

「だーかーらー! 私と蓮はそんなんじゃないって言ってるのに。その噂は全力で否定しといて」

否定すればするほど、みんなが面白おかしくからかってくる。

とりあえず誰かとくっつけたいみたいだけど、蓮とだなんてありえないでしょ。

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