私達は先生に見つからないようにそっと歩みを進めていた。

一学期も終わりに近いが、もう日中の気温は八月並みに暑い。だが、さすがに夜だと少し涼しい。
カーディガンを着ても良いかもしれない。

音を立てないように、こそこそと私達は階段を降り、
下駄箱へと向かう。

靴を入れる所は、金属かなにか……
小学校の時の掃除ロッカーみたいな素材でできている。
開閉式なので、少しでも勢いよく閉まったり、
ぶつかってしまうと音を立ててしまう。

いじめられるのと、先生に夜に学校に来ているのをバレて怒られるのはどっちがましか、と言われたらもちろん起こられる方だが、怒られるのももちろん嫌だ。

「はぁ……」
私は日々の疲れに誰にもバレないように、
小さくため息をつく。

「疲れたよね、こんなの」
私のため息の意味を悟ったのか、みのりは
私を心配そうに横目で見る。

「……うん」