同じクラスの茅野くん。
みんなから好かれている人気者。
彼が笑えばみんなが笑って。
彼の意見にはみんな賛同する。
そんなクラスの中心人物。
みんなの注目の的。


人懐っこい笑顔に、誰に対しても平等な接し方。
裏表のない性格に、運動も勉強もできる。


そんな人気者に。
私は密かに恋心を抱いていた。


でも、人気者だから好きになったわけではない。


きっかけは単純で。
自分でもばかだなあって思った。





新学期のクラス替え。
掲示板に張り出されたクラス名簿の中から。
自分の名前を探していく。


私はこの作業が大嫌いだ。
自分の名前をみんなに知られるのがたまらなく嫌いだ。
だから、クラス名簿に下の名前を書かれることに酷く不快感を抱いている。


私の下の名前は私の顔にはまったく似合わない名前で。
華やかな名前に地味な私自身。
名前を見た後に私を見てがっかりする人をたくさん見てきた。


下の名前を口にしたら、似合わないと口をそろえて言われてきた。
名前が可愛すぎて釣り合わなくて。
そんな自分の姿が、滑稽に見えた。
だから、私は自分の名前が嫌いだ。