「なぁなぁ!兎壁の好きな食べ物って何?」


「教えるわけないでしょ」


相変わらず私以外の人には塩対応の杏莉
昔はこうじゃなかったんだけどね…
"あんなこと"があったんだ。そりゃ誰だって
今の杏莉みたいになる。


だからこそ私は杏莉を救いたい。
もう一度あの時みたいに笑い合いたい。


「杏莉はね、フルーツタルトが好きだよ!」


「ちょ、華恋!?何バラしてるの!?」


「お、飯嶋ナイス!今度買ってくるわ!」


「いらないから!」


寺川。もし、冗談半分で杏莉に関わるなら、
杏莉に関わらないでほしい。


でも、あんたは違うって私はわかってる。
本気で救おうってちゃんと伝わってる。
だから二人で杏莉を救おう


「俺、フルーツタルトの美味しい店知ってるんだ!
一緒に買いに行こうぜ!兎壁!」


「嫌に決まってるでしょ」


「じゃあ杏莉連れて行くね!どこ集合にする?」


「え、ちょ、華恋!勝手に決めないで!」


「フルーツタルト食べれないよ?いいの?」


「ぐっ…」


ほんと、昔からフルーツタルト好きだよね。杏莉は。


「仕方ないから行って…あげてもいい」


「兎壁がデレた!!俺嬉しいー!」


「勘違いしないで!フルーツタルトの為だから!!」


今は救うことが難しいかもしれない。
けど、諦めずに戦おう。


寺川、アンタは裏切らないって信じてるから