バシャッ!
体中が冷たくなる。水で濡れていて気持ちが悪い


「アッハハ!兎壁さ〜ん!大丈夫〜?」


大丈夫な訳ないでしょ。見てわからないのかなぁ


「兎壁さん涼しいでしょ?感謝してよねー?」


寒いに決まってるじゃない。今10月なんだけど


「てか兎壁さん喋らないんだけど。生きてるぅ?」


喋らないから生きてないってどーゆーことよ


「喋れよ〜兎壁〜!」


このグループでリーダー的存在の萩村さんが言った


「…くだらない。もうこんなことやめれば?」


こう言ったらほら、表情が強ばった
何回も経験してるのに、何で抵抗するんだろ


「はぁ!?何調子こいたこと言ってんのよ!」


殴られた。痛みがない。もう感じなくなった


「お前ら!何してんだよ!!!」


男の声…?誰なの?


「チッ、めんどくさ。行こ!」


バタバタと走っていった萩村さん達
そんなことより、誰なの?誰が止めてくれたの?


「おい、兎壁!大丈夫か?」


手を差し伸べてくれるキラキラとした男の子


「…誰?」


「俺は寺川龍我。一応同じクラスなんだけど…」


寺川龍我?誰かわからない


「ごめん。よく覚えてなくて…」


「それなら仕方ねぇな」


「ごめんね。寺川くん」


寺川くんは笑顔を向け、許してくれた


「なぁ兎壁。何でイジメられてんのに抵抗しねぇんだよ。どうして先生に言わねぇんだ?先生に言ったら助けてくれるかもしれねぇだろ?」


は?そんなこと今まで何回もした。
なのに、なのに軽々しく…


「先生に言ったって無駄なのよ」


「無駄じゃねぇよ!俺は兎壁は傷つく姿はもう見たくねぇんだよ!俺は兎壁が心配なんだ」


この言葉何回も聞いた。飽きた


「先生は私が言っても無視をし続けたけど?それに、寺川くんとは関係ないでしょ」


「関係ある!!」


「なんで?」


「そ、それは…」


ほら、戸惑った。結局皆同情するんだよ


「あのさ、同情なんかいらないの。関わらないでくれる?どうせ、アンタも自惚れてるんでしょ。そーゆーのいらないんだけど」


「同情なんかじゃねぇよ!」


何でそう言いきれるか逆に聞きたい


「証拠は?理由は?同情してないなら言えるでしょ?」


「…っ」


ほら、証拠や理由すら言えない。アンタもそっち側の人だったんだ。まぁどうでもいいけど


「もう私に関わらないでくれる?あんな低レベルのイジメぐらい、私一人で解決出来るから」


言いたいことだけ言ってその場を立ち去った


「皆同じなのよ。誰も信じない」


裏切られて悲しくなるぐらいなら、誰も信じない
華恋以外、私は誰も信じない