最初はなにかの間違いだと思った。
目を覚ますと私は1人で、
隣には白骨化した2人の遺体と、
自分の右手に1枚の写真が握られていた。
不思議と骨に対して恐怖はなかった。
握っていた写真に目をやると、仲の良さそうな家族がうつっていた。
数秒してようやく、
その中の幼い少女が自分だと気づく。
間違いなくこれは私だ。
そしてこの2人の遺体は両親だと思われる。
写真にもう一度目を移した時にあることに気づく。顔が抜き取られているが、そこにはたしかにもう1人家族がいた。
…思い出した。お兄ちゃんだ。
あの優しかった大好きなお兄ちゃん。
7歳も離れているけれど、いつも優しく
いつでも私を守ってくれた。
なのに…
(思い出せない。)
そう。顔だけが思い出せない。
どうして?なぜ?それどころか
私はなぜ1人でここにいる?
5歳までの記憶はあると言うのに、
6歳からの記憶がない。そして
兄の顔だけ分からない。
私の名はウリエル・クロウ。
母はイリアノ・クロウ。
父はサウレナ・クロウ。
そして兄はクレノア・クロウ。
私は5歳。だった。
今はいったい何歳なのか、
なぜ記憶が無いのか、
両親の死因もわからない、
兄の行方もわからない。
いったい私はどうすればいい?