初のゴールデン番組に出演してから目まぐるしい毎日を送っている。
サロンのホームページは一時期パンクするほどだった。
彼女も予約3ヶ月待ちの歯科医になり「腕がなるわ〜」と俄然やる気を取り戻してくれている。


試しに開設した彼女のSNSでは、曲のリクエストや私服コーデのリクエストが山ほど届いて反響の大きさに、テレビの凄さに2人ともびっくりだ。




「行ってくるね」


とうとうこの日が来てしまった。
学会の為、仙台へ行ってしまう。
夕方出発だから見送りにも行けず。
明後日には会えるのに、まるで遠い外国へ行ってしまうかのような暗い気分になる。


「アハ、そんな顔しないの」


ほっぺを優しくつねられて夢じゃないんだと思い知る。
テレビ出た後だよ?
顔バレしたら学会もパニックになったりしない?
そんな時誰が芹を守れるんだよ……
考えれば考えるほど心配になってきた。



何も言わない僕を優しく見つめる彼女からのキス。
離れて……くっついて……
きつく抱きしめる。
邪念を払って自分を奮い立たせた。