「病気の進行が予定より進んでいます。
 覚悟を、決めておいてください。」




医師の宣告は、母を泣かせた。
僕はもう、泣き方すら忘れた。



「ごめんね……爽太。ごめんね。」



謝らないで、母さん。
母さんは悪くない。


全部、神様が悪い。


あの日、医者から余命1カ月の宣告を受けた。
あまりに突然の言葉と。
30日と言う短い年月。
自分の人生の終わりを告げられた日。
僕は、生きる気力を失った。


自殺、したら母さん泣くかな。
どっちにしろ死んだら泣くんだし。
どっちだっていいか。
……泣かせたくないんだけどな。


生まれて間もないころから病院通いで。
入退院を繰り返していた。
小学校に上がる頃。
医者から心臓病と宣告を受けた。


学校にまともに通えなかった。
体育も運動会も遠足も。
部活も文化祭も修学旅行も。
全部、体験できなかった。