あれから数日、爽太のもとへは行っていない。
あのバカ、少し頭を冷やせ。
許可なく、しかも今日のスキンシップは達成してるのに。
びっくりしたんだから。


暫く反省しろ、と思いながら学校の廊下を歩いていると。
曲がり角で人とぶつかってしまった。



「す、すみません!」



考え事なんてしてたからだ。
前向いて歩いてたらこんなことにならなかったのに。
もう爽太のバカ野郎!!


爽太に悪態を吐きつつぶつかった相手を確認すると、



「り、お先輩?」



「詩羽?」



ずっと姿を見ていなかった理央先輩が目の前にいた。
目にするだけで、焦がれるほど胸が痛い。
振られたけど、まだ好きだ。
会っただけで痛感させられる。



「元気だったか?」



「は、はい。」



「なら良かった。」



いつもと変わらない笑みを浮かべてくれる先輩に涙が出そうになる。
やっぱり、先輩は優しい。
その優しさが、今は痛い。痛いよ。