世界はとても狭い。



「響〈ひびき〉! 大スクープだよ」



「!」



朝、いつものように教室で雑誌を読んでいると、背後から友達が大声で声を掛けてきた。



《転校生! しかも男子》



そして、同時に友達の心の声が頭に流れてくる。



「転校生?」



「えっよく分かったね。転校生がくるんだって!」



(聞こえているからね)



「男の子?」



「そう、男子だよ。イケメンかな? 超楽しみ!」



「そうだね」



《あー楽しみ楽しみ!》



「………」



(嬉しそう)



私の名前は、美沙樹 響〈みさき ひびき〉。



この鈴白樺〈すずしら〉学園の高等部1年生。



そして、先ほどから転校生が来る事に大はしゃぎしているのが、七咲 玲杏〈ななさき れあん〉ちゃん。



私とは小学校からの幼馴染である。




実は私には幼い頃から悩み続けている事がある。



それは……。



玲杏ちゃんにも家族にも言えない大きな秘密である。