それからと言うもの。

屋敷の中では執事とお嬢様として。
学校では友人として。
ごく僅かなふたりっきりの時は恋人として過ごす日々が始まった。

素と、仕事用と、学校用と。
面倒ながらもキャラを使い分けている。

学校で執事であることを秘密にしてるのはまぁ良いとして。
凛が望んでるから。

このキャラの使い分けと、あと元木さんの存在。
他人に言うなって言われてるし。

俺、秘密だらけだな……。

それも1ヶ月経った今では、少し慣れてきたけど。

「ああ、本当面倒だなぁ……」

「うっせ森下、独り言言ってんじゃねーよ!」

「安達君こそ。
そんなことくらいで騒がないで下さい、耳が痛いです」

「てっめ……!」

毎度毎度つっかかってくるこの男。
クラスメイトの安達君。
入学初日、凛に一目惚れしたとかなんとかで、いつも一緒にいる俺に敵対心むき出しだ。