「当たったぞ!」


声を上げたのはトノサマガエルでした。
彼はロールキャベツの中から出てきた小判を高々と掲げました。


アラシとナギがパチパチと拍手をおくります。


「おめでとうございます。あなたが次のお殿様です」


がっかりしたのは他のカエルたちです。
けれど文句を言うことはありませんでした。だって、アラシたちは誰がお殿様になったって構わないし、ズルをするような猫ではないとわかっていたからです。


「仕方ない。これも天の思し召し」と、ダルマガエル。


「また来年があるでしょう」と、アマガエル。


「まったくだ。それにしても、このロールキャベツは美味しいぞ」と、ウシガエル。


トノサマガエルが「はっはっは」と高らかに笑いました。


「あっぱれ、あっぱれ! これにて一件落着」


カエルたちは晴れ晴れとした顔で、ロールキャベツを綺麗にたいらげました。
白ワインをあけて乾杯です。


「我らがお殿様に乾杯!」


店の中はカエルの大合唱で賑やかになりました。