『本当に逃げたくなったら、俺を呼べ。』





彼はそう、夜風に吹かれながらわたしに告げた。





『次お前が俺を呼んだ時、お前はきっと逃げることになる。』






暗闇の絶対的な王者は、低い声でそう言って、わたしに背を向けた。





きっと彼は本当にわたしを逃がすだろう。




そう信じざるを得ない威圧と自信がみなぎっていた。