ケータイ小説 野いちご

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女嫌いドクターとスイートな契約結婚

CHAPTER 3
妻の誇り

紙カルテのファイルを内科外来に返しに行った時、ちょうどアナウンスが流れた。

『内田和代さん、内田和代さん、診察室2番にお入りください』

…相変わらず中待合も外待合も混んでるな、と思いながら帰ろうとしたら、立ち上がったおばあさんが杖を落として身体のバランスを崩していた。

「大丈夫ですかっ」

咄嗟に身体を支えたけど、小柄でずいぶん体重は軽い。

落ちて転がっていた杖を他の患者さんが拾ってくれて、おばあさんに渡した。

「ああ、ありがとうね。今名前を呼ばれたから、急がなくちゃと思って…」

名前って…

「内田和代さんですか?」

「ええ」

外待合で待ってたんだ…内田さんが杖を歩いて行くペースだと、多分いないとみなされて他の人が呼ばれちゃう。

「内田さん、ちょっと待っててくださいね」

中待合まで駆けて2診のドアをノックした。

コンコン

ドアを開けたら、そこには目を丸くしている風間先生と看護師がいる。

呼んだはずの『内田和代』さんじゃないんだから当然だ。




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