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女嫌いドクターとスイートな契約結婚

CHAPTER 1
あっという間に結婚

まだ夢なんじゃないかと少し疑っていたけど、どうやら現実だったらしい。

…いや、もしかしたらそうとう長い夢なのかもしれない。

その日のうちにお見合いは断りの電話を入れた。

もちろん母は『そんなの相手方に失礼よ!』ととても怒ったけど、まあ当然のことだろう。

お見合いはもう数日後に控えていたんだから。

だけど、結婚しようと思っている相手が他にいて、それが医師であることを告げたらコロッと態度が変わった。



早速その週末に、先生は長野にある私の実家に挨拶に来てくれた。

過疎化の進んだ田舎町で、だだっ広い土地に広い庭があり、その奥にこれまた広い家が佇んでいる。

母がひとりで住むには広すぎて、寂しい思いをしているんじゃないかと思いきや、本人はそれを満喫しているらしく、よく友人を招いてパーティーをしているらしい。

通された和室の庭に見えるししおどしが、一定の間をおいてカコンっと音を立てる。

それが私と先生の緊張感を煽っていく。

緊張した面持ちで母に向かい合い、先生は正座をして頭を下げた。

「凛さんを、僕にください」

「ええ、お願いしますねっ先生」

拍子抜けもいいところだ。

結婚する上でよくある『彼女の親への挨拶』、母は全く緊張感がなく、即答した上に声を弾ませていた。

それは、医師だからという理由だけじゃなく、実際に会ってみて先生の容姿にメロメロになってしまったからだ。

「あと30歳若かったら…」

お父さんの仏壇の前で本気で言うお母さん。お父さんが不憫でならない。

その後は私をほったらかして3時間も2人で会話を楽しんでいた。

いや、正確には3時間のうちのほとんどが母のマシンガントークだ。




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