ーー翌日。

わたしは教室のドアを開けるなり、
クラス中の生徒の視線を独り占めにしていた…。

どうやら昨日わたしが突然ぶっ倒れて、
みんな気になっているようだった。

みんなの視線を受けて
わたしの昨日の決意はすでに
しぼみ始めていた。

もともと、友達づくりが得意な方ではないのだ。
でも、誰かに聞いてみなくては…
昨日わたしを助けてくれた人を。


「…おい。」
「ぇ?」

まさに前に座っている女の子に声をかけようとしたその時、
隣から男の子の声がした。

まさか話しかけられるとは思ってもみなかったわたしは、きちんとした返事もできなかった。

「七瀬ゆうの。
ちょっと来て。」

…えっとごめんなさい、誰ですか…?
昨日はクラスの人の名前は全然覚えられず
帰ったため、
名前がまったくわからなかった。

わたしが戸惑っている間に、
その人はズンズン進んでドアから出ていってしまった。

「……」

背中を見送ってから、数秒。
やっと頭が回転し出して、
わたしは急いで教室を出て
その人を追いかけた。