春は、出会いと別れの季節である。





今日は、私──アメリア・ダンカン──の王立セント・フォリス学園中等部の入学式だ。

とは言え、周りは初等部からメンバーは変わりなく、あまり新鮮味はない。


ハゲ頭の学園長先生の祝辞をぼんやりと聞き流しながら、私はどこの学校も校長の話は長いのね、なんて呆れていた。


ふと隣に並んでいる私の恋人──ルイス・フォスター──の横顔を盗み見る。

飛び抜けてかっこいいわけじゃないけれど、私の自慢の恋人。

鳶色の柔らかな髪に、眼鏡のレンズ越しにのぞく琥珀色の瞳。

私の頭一つ分高いところにあるルイの顔を見上げると、相変わらず真面目な顔をして話を聞いていて、私とは大違いだ。


まぁ、そんな彼の真面目なところが私は好きなのだけれど。


ジッとルイの顔を見つめていたら、ルイは呆れたように微笑んで私を小突いた。

話を聞け、と言うらしい。


仕方がなく、私は学園長先生の方を向く。

学園長先生は先程と何ら変わりなく……いや、身振り手振りをつけて熱弁していた。

それまでの話を聞いていなかった私にはさっぱりなのだが、どうやら感動的な話らしい。

涙ぐんでいる生徒がいるのは気のせいではないようだ。