「あ、そうだ。那、これ」
「ん?」
那くんが家に来て初めての月曜日。 朝ごはんが終わりそろそろ出ようか、なんて那くんと話してた時だった。
「お母さん、那くんは車の運転なんて出来ないよ?」
「うるさい幸。そんな事分かってるわよバカ!」
「ばっ!…バカ……!!」
娘に対して言う言葉じゃないよー! よく言われるけど……。 お母さんのバカっ!!
「分かってると思うけど那、合鍵だからね?」
「ふっ、恵さん、俺を誰だと?」
「さっすが那! どっかのバカ娘とは違うわ〜!」
「んなっ!?」
どっかのバカ娘とは!? 私のことですか!? 娘に対してバカとな!?!?
「お母さんのバカぁぁああああ!!」
「はいはい」
「学校行こう那くん!」
「はいはい」
「………」
お母さんからも那くんからも同じ扱いされちゃう私って…結構可哀想じゃないでしょうか……。
ここにお父さんがいたら絶対味方してくれるのにな…。
はぁぁぁあああ………。