稚己side
目が覚めると、隣には知らない男の人がいた。
眠い目を擦りながら、顔を見つめる。
逃げたくても、抱きしめられていて動けない。
「あの…」
私がそう呼びかけると、男は目を擦りながら優しく微笑んだ。
「おはよ、稚己。よく眠れた?」
昨日…確か人と会って…一緒にきて…約束して…部屋を使わせてくれて…そして一緒のベットで…。
昨日のことを順序よく、思い出していく。
「稚己?」
あぁ…そうか…。
助けてくれた人だった。
「おはようございます。遥斗さん。」
触らないのは簡単。
好きにならないかどうかはこれからじゃないと、分からない。
だからまずは簡単な、気を使わないから初めて行こう。
遥斗さんは、ビックリしたように目を布団からガバッと起き上がった。