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【時雨side】



俺には守りたい者があった。
「物」じゃなくて「者」

でもそれは、危険と隣り合わせのものだった。常日頃、感じる危機感

それは家庭内での話し

誰もが、俺の体に出来る痣を見てみぬフリで。唯一庇ってくれていたのが……

実の姉-赤崎 百合花だけ

母親は父親に恐れ、一人実家に帰り、気付けば離婚してらしい。

実際、「知らないまま離婚」なんて不可能だが離婚届けで記入する、父親の欄を母が記入し、字を父親の字に真似て書き、そのまま提出したらしい。

元々、殴り書きの字を書く父親の癖は綺麗な字より真似やすい。

読めないぐらいがちょうどよく、

きっと書いた本人すら読めないのが、父親の「字を書く癖」だ







だから、綺麗な習字の教科書を手本にした母親の字と。殴り書きされた字が同一人物だとは疑われなかったのだ

離婚をするな。とは言わない

だが、せめて…………どうして、








姉を連れて行ってくれなかった?


俺はいい。生きてても価値がないと父親に言われ、納得してしまうほどに俺は…







無価値な人間だ。

でも、せめて姉だけは守りたかった





俺には…………唯一大切な「家族」だと言える人だったから

「もしも」の世界があるのなら、俺は……





俺が次は大切な者を守るために…………



















この手を汚すと決めた――――――――――――――……