「久住さん…!」


久住さんの事務所に着いて菜穂たちが久住さんに話をしてくれている頃、慌ただしく扉が開かれ、息を切らした竜が姿を現した。
私はソファに縮こまって座り、温かいココアを飲んでいた。

竜は、部屋を見渡し私を見ると、少しホッとした顔をする。




「鹿島!お前、どこにいたんだ!」

「…すいません。あの、なにが…」

「紗千さんがオートバイの男に襲われた」

「なっ!」



久住さんが説明してくれる。
私はグッと唇を噛んで俯いた。



「紗千さんのご友人が見つけてくれ、大事にまでは至らなかったが…」

「鹿島さん…?なんで、紗千の親戚ですよね?」

「菜穂さん…俺は…」




竜の姿に驚いた菜穂が問いかける。
竜は戸惑ったように瞳を揺らした。