あの、葵衣に頭を下げた日から一週間。

一週間の間に詩織が私と同じ学校に入ってきて、クラスも同じになって毎日が楽しかった。

倉庫に行って、詩織を倉庫に残して鬼として活動した。

水神とはそこそこ仲良くなった。詩織は全員と仲良くなったみたいでよかった。

今日は、詩織とネックレスを取りに行く日だ。

詩織と店に向かった。

「いらっしゃい。待っていたわよ!
はい、これ!」

完成した物を見た。

私はシルバーで詩織のは薄い桜色だ。

「詩織は桜色にしたんだな。」

「うん!前に、玲菜ちゃんが桜色が一番似合うって言ってくれたから!」

「そうだったか。つけてあげるから、後ろ向きな。」

詩織の首に桜色のネックレスが光る。

「これってどういう意味なの?」

リングの裏側に彫ってある文字を見て聞いてきた。

「From"R" I'm with you ,always.
(僕がついてる。いつも。)
って意味だ。」

「わぁ!いつも守ってくれているみたい!」

自分のをつけて、リングの裏を呼んだ。

「From"S" stay by me side forever.
(ずっとそばに居てね。)
詩織、ありがとうな。居れるだけ詩織のそばにいるつもりだ。」

「うん!」

「詩織、先に行っていてくれ。すぐに追いつく。」

「わかった!ゆっくり歩いてる。」

詩織が出たのを確認して安佳里さんにお金を渡し、ピアスを受け取った。

「安佳里さんありがとう。」

お礼を言って走って詩織のもとに向かうと詩織はナンパされていた。

「おい!お前ら何してんだ!」

すぐに詩織の腕をつかみ自分のもとへ引き寄せる。

「あぁ?なんだテメェ。」

「は?お前がなんだよ。
帰ろう。詩織」

詩織に帰ろうと促し、倉庫へ向かおうと進路変更し歩き出すと、

「てめぇ!調子に乗ってんじゃねーぞ!」

バコッ!

鉄パイプで後頭部を殴られた。

「いってーなぁ…。殺すぞ。」

殺気を出した。今日は鬼の格好ではない。

どうするか…。まぁ、やるしかないんだけど。

「覚悟はできてるよな?おい。」

バコッ!

私を殴ってきた男の肩を鷲掴みし、殴った。

「お、おい!こいつ、鬼だ!あの鬼だぞ!
あの髪色と耳に光る大量のピアス…。鬼だ!」

そういって、逃げて行った。

はぁ、フードなしでもバレるのか。やばいな。

「詩織、行くぞ。」

「う、うん。玲菜ちゃん、頭大丈夫なの?」

「あぁ。大丈夫だ。」

それだけ返して歩いた。

倉庫の前に来て、詩織に行った。

「病院に行ってくるわ。迎えに来るから絶対に水神といなよ。」

「うん!わかった!」

バスに乗って病院に向かった。

病院についてすぐに医院長室に向かう。

コンコンッ

「はい。」

中から孝介先生の返事が聞こえた。

「孝介先生ー。玲菜」

「は?玲菜?!」

ガチャッ!

「入るよー。」

「おまえ、連絡の一つくらいよこせよ。」

「はいはい。」

「で?最近はどうなんだ?」

「ますます悪くなっている気がする。
いつ倒れるかわからない。」

「そうか、もしかすると1か月も持たないかもしれない。」

「は?どういうこと?!具体的にどのくらい?!」

「おい、興奮するなよ。落ち着け。
まぁ、大体一週間程度だな。」

「一週間?!どうして、どうして私が…!」

「入院するか?そしたら、もっと…」

「いい。一週間でけりをつける。」

「そうか。来週には入院だぞ。」

「うん。わかってる。
今日は、帰る。」

どうしよう。急がないと。

もう、計画を実行するしかない。

「あっ、詩織を迎えに行かないと。」

水神の倉庫の前に来た時、誰かに声をかけられた。

「おい。どこまで知ってるんだ。」

「どこまでって?」

話しかけてきたのは、西ノ宮龍生だった。

「とぼけるな。俺の過去のことだ。」

「あぁ、あなたの過去のことは全て知っていますよ。」

「知って、どう思った?」

「どうと言われましても…。文章で読むだけじゃわかりません。
もし、良ければ聞かせていただけませんか?無理にとは言いませんが…?」

「どうせ、知られているんだ。隠す必要はないだろう。」

「じゃあ、話してくれるんですね。」

「おれさぁ、昔は両親と仲良かったんだ。
でも、父親の会社が倒産した日を境に両親のギャンブル依存症、アルコール中毒が始まって、虐待された。
それが、小3の時だった。
それで、虐待から二年たった時マンションの隣の住人が夜中の物音が激しいって警察に通報したんだ。それで、両親の虐待がわかって俺は養護施設行き。
中学になるころには、荒れて、喧嘩ばっかりやってた。
その流れで、水神に入ったんだ。」

西ノ宮龍生の過去は壮絶だ。実の親からの虐待。
きついだろうな。

「へぇ、そう。話してくれてありがとう。
文章より頭に入ってくる。」

「おまえは、同情しないんだな。」

「そんなのしてどうするの。されたくないでしょ。
同情は一番腹立つ。」

「そうか。俺のことは龍生って呼べよ。俺も怜奈って呼ぶから。」

「う、うん。ねぇ、龍生。詩織呼んでくれない?」

「帰るのか?」

「うん。時間がないから。」

「そうか。じゃあな!」

ドキッ!

そう言って、満面の笑顔で倉庫の中に入っていった。
なんか、懐かれた?今のドキッってなんだ?

「玲菜ちゃんー!帰ろう!」

龍生が入って、すぐに詩織が来た。

「あぁ。夜ご飯はどうする?」

「んー。オムライス!」

「わかった。」

部屋に入り、キッチンに向かいオムライスを作った。

10分後

「詩織!できたぞ」

「はぁーい。」

詩織はソファーに座り、オムライスを食べている。
この顔を見られるのはあと何回くらいなのだろう。

「ん?どうしたの?
ジッっと私の顔見て。」

「んー。可愛いなって思って。」

「な、なにそれ!」

「なぁ、詩織。今日病院に行っただろう?」

「うん。ごちそうさまでした。」

食べ終わりお皿を片付けに行った。

「もう、一週間くらいしかまともな生活ができないらしい。」

「え?それ本当?」

「あぁ。もう、時間がない。
いつ倒れるかわからない。」

「そっか。じゃあ、残りの時間は全部玲菜ちゃんと過ごしたい。」

「あぁ。そうだな。風呂入って寝るか!」

「うん!一緒に入ろうー。」

「しゃーねぇな。」

ごめんな。詩織。

できるなら、もっと一緒に居たかった。

龍生とももっと話したかった。
ん?どうしてここで龍生が出てきたんだ?


まぁ、とりあえず計画を実行しないと。

みんな。ごめんね。