ケータイ小説 野いちご

世界で一番優しい嘘

1 出会い

ジリジリジリジリ!

目覚まし時計のけたたましい音が部屋に響きわたる。
俺は目を閉じたまま手探りで目覚まし時計を止める。学生ならよくやる事だろう。

ガシッと時計を掴み片目だけ開けると、あと5分いけると判断してまた閉じる。



「琉生ー!もう起きないと入学式間に合わないわよー。今日は早くに家出るんでしょ!」
「くっそ…、もう時間かよ…。」


名残惜しく布団を一度頭まで引き上げるが気合を入れてガバッと起き上がる。


さっさと制服に着替え階段を欠伸をしながら下りていくと、卵を焼く音がする。

「おはよう、琉生。
入学式だっていうのにマイペースね。」
「はよ。別に初めての入学式って訳じゃない だろ。特に焦る理由もない。」


そう返せば溜め息が返ってくる。

「そういう所、父さんそっくりだわ。」

話題に上った父さんは俺が中2の時交通事後で死んだ。
飛び出した子供を助けようとして代わりにトラックに轢かれたんだと。
どこまでお人好しなんだか…。


目玉焼きを食べながらそんなことを考えているともう家を出る時間になっていた。


「よし。じゃ、俺もう行くわ。」
「そう。気を付けるのよ?」
「んー。」



ソファに置いてあった鞄を掴み玄関を出る。

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