「あいつは一条悠真。元陸上のチームメイトだった奴だ。あいつとは結構仲良かったんだけどな。中2の後半頃に起こったある出来事でなにもかも変わっちまったんだ。」
「ある出来事?」
「ああ。そうだ。あの日はいつもと変わらない筈だったんだ。何か1つでも違えば何か変わってたかもしれない。そう思えるくらいに普通の朝だった。」


何も変わらない。
朝練だっていつもと同じでその前日だってそうだった。いつもと一緒。
俺が過敏すぎたのかもしれない。
他の奴らが聞けば、「そんだけかよ。」と一蹴されちまう事かもしれねー。

だが俺は許せなかった。
陸上を舐めてたあいつらの事を。
それに気付けなかった自分の事も。

言葉ではしっかりと言い表す事なんてできなねーんだ。

ただひ1つ確かなのは
あの出来事は俺の胸を深く、深く抉っていたんだ。

あの日の事は何もかも忘れたくなるくらいにな…。