「愛音ー!起きなさーい。入学式でしょー。」
一階からお母さんの声が聞こえてくる。
「うーん。分かってるー」
そう。今日は待ちに待った中学の入学式。
ずっと春休みから楽しみにしてた。
よし!頑張ろう!

「お母さん、おはよう!あっ。お父さんも。」
「「おはよう」」

「先、朝ごはんたべちゃいなさい」

「うん。」
席につこうと椅子を引いた時だった。
「愛音、今日はお父さんも行くぞ。」

「そうなの?でもお父さん今日仕事は?」

「大丈夫。有給取ったから」
お父さん………。
「お父さん、ありがとう。」
あたしのお父さんは仕事が忙しく、単身赴任も多い。
そんなお父さんが
入学式や卒業式に来てくれることは
今まであまり無かった。

「かのーん。朝ごはん早く食べな」
「はーい」
お母さんのホカホカの朝ごはんを食べた。
「ごちそうさまー」
「お母さん置いといていい?」

「いいわよ。あんたは、はやく着替えて準備しなさい」 「はーい」

[カチャリ]

ハンガーにかけてある真新しい制服。
「よし。着替えよう」
あたしは制服に袖を通した。