月明かりが夜の公園に差し込んで、ブランコの黒い影を浮かび上がらせる。



夜の爽やかな風が髪を揺らす。



背の高い公園の真ん中にあるおじいさん時計が11時を指す。



はあ、帰らなきゃって思いながらも重い腰が上がらない。手に持つファーストフード店のジュースをすする。



お父ちゃんに怒られちゃうな、なーんてね。



立ち上がる気にはならない。



バイト帰りで未だに制服姿の私はきっといけない子だ。夜遊びをしている子みたいだな。そう思うと乾いた笑みが浮かぶ。



先週のカフェでの出来事を片隅に、わたしはぼんやりと宙を見つめていた。


あの日以来、気まづい空気がお互いの間に流れ、わたしは相川のことを一方的に避けている。


本当は知ってた。ただのお礼がしたい相川に下心なんてないことを。ただ、そんな彼に、欲まみれの自分がのこのことついていったことに対して、わたしは怒っていたんだ。


それに加え、昨日ダンボールの中から家族写真が出てきた。


わたしの心は沈んでばかりだ。


嫌な思いばかりが脳を駆け巡る。