ケータイ小説 野いちご

【完】溺れるほど、愛しくて。

俺がさらってやる




《萩花side》



次の日の帰りのHR。


授業も先生の声もまったく耳に入ってこず、
今日は一日中ずっと頭の中で昨日の出来事を思い出していた。


───『帰らないならお前を抱く』


昨日の慶さんはどう見てもおかしかった。


ガキだと言っているあたしにキスしてくるし、おまけに抱くまで言い出すんだから。


あれがあたしのファーストキス。


慶さんとできたのは嬉しいけどあんな状況じゃ…ね?


相手が慶さんなら……よかった。


彼のあんな悲しそうな顔を見たくなかったから。


利用されても、何をされても文句はなかった。
好きだから、大好きだから笑っていて欲しい。


彼を笑顔にできるならあたしは何だってする。


でも結局慶さんはまた『ガキだから』という理由であたしを遠ざけた。


おまけに振られちゃうし。
今日の朝だって目も合わせてくれなかったし。


あたしにとっては慶さんは特別でも
慶さんにとってあたしはただのガキんちょでしかないんだろうな。



「はぁ…」



先生にバレないように重いため息をこぼす。




< 99/ 311 >