《知ぃらないんだぁ、そんな事言って。またリプニーに蜂の巣にされるわよ?》

口煩く青年の周囲を飛び回るフラウ。

「テメェもうるせぇんだよ、リプニーばばあのパシリがよ」

《パシリじゃないわよ!精霊よ!》

「リプニーばばあに言われて飛んできたんだろうが、パシリに違ぇねぇよ。んな事よか…」

青年は横目でフラウを見る。

「オフクロ…どうしてんよ…?」

《…泣いてたわよぉ?》

ニヒヒと笑いながら言うフラウ。

「畜生」

青年は頭を掻き毟る。

母・蒲公英に泣かれると弱い。

彼の家族で一番強いのは、勇者を受け継いだティーダでも彼でもなく、泣いた蒲公英なのだ。

フラウが言う。

《悪い事言わないから、帰って来なさい、リュート》