「わたし……小学校の社会見学以来だ」



何年ぶりかに訪れたプラネタリウムに感嘆の声を上げる光来が可愛くて、


「ここがよく見えるよ」


光来の手を引いていた俺までなんだか嬉しくなってしまう。


いつも座る特等席に光来を座らせ、その隣にゆっくりと腰を下ろした。



それを見計らったかのように辺りは暗くなり、単調なアナウンスがドーム内に響き始めた。




俺がここにくるのはいつも一人だった。


いつ現れるとも知れない症状に対する恐怖心や、伝えられない片想いに好きでもない女の子の甘い声。



それらの全部が嫌になったとき。


俺はここにきて頭の中を空っぽにしてしまう。



そんな時間が好きだった。