いつも、一人で授業を受けていたわたしのクラスに転校生が来るとある日先生が告げた。

週に何度か他のクラスに授業を受けに行くことはあるが、普段はこの“支援学級”と呼ばれているところでわたしは一人、授業を受ける日々。

だから、『転校生が来る』と知らされたときはどんな子が来るのだろうとワクワクした。


「明日、来る子の名前は“小瀬 新汰(こせ あらた)”くんだ。仲良くしてあげなさい。」

帰りのHRでクラスの担任の先生があらかじめ、転校生の名前を告げて教室を出ていく。


中学1年だったわたしはイケメンとかアイドルとかに興味があった時期。

小瀬 新太という名前を耳にした瞬間、わたしはなんて格好いい名前なんだと胸が高鳴った。

“アラタ”という名前はよくある名前だが私はその名前の持ち主に会ったことがない。

多分、わたしの授業を受けに行く普通クラスには一人くらいいるんだろうけど、あまり関わることのないクラスだからまともに名前を覚えていられないのだと思う。
――きっと、優しくて話しやすい男の子なんだろうな


一人で軽く想像してみたりなんかした。しかし…