洋学所へ戻ると、なぜか庭の沓脱石に腰をおろして、八重がうなだれている。 「…八重さん?」 新島が顔を覗きこんだ。 すると。 「女紅場を出された」 というのである。 「キリシタンと関わっている女は出入りさせられんと言われて…」 「それは」 新島は言葉を失った。 明らかに自分が原因なのである。