ケータイ小説 野いちご

すれ違った鍵の音……

仕事の音

 企画の打ち合わせは、着々と進んでいた。


「壁紙のデーターは?」

 課長の言葉に、私はまとめた資料を出す。


「デザインが見たい」

 飯沼主任の言葉に、サンプルを広げる。


「入居対象者の家族層は?」

 私はパソコンのデーターを、目の前の画面に映し出す。

 あらゆる方向性を考えてまとめた資料を用意する。


「あははっ。どうしてこうなったの?」

 突然、姫川さんの笑いが響いた。


 姫川さんの手にした資料の一部に、ラブホのようなベッドルームが写っている。


「ああ…… 間違えて印刷しちゃった~~」

 悲鳴を上げたのは大宮君だ。


「大宮かぁ」

 飯沼主任も笑いを堪えている。


「クリックひとつ間違えたら、こんなんなっちゃって…… 消すのを忘れたんです…… 間違えただけです」
 大宮くんは、口を尖らせてていじけだした。


「まあ、こういう部屋もありかもなぁ?」

 飯沼主任の冗談だか本気なんだか分からない言葉が出た。


 課長と目が合い、お互いニヤリとしてしまった。

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