雲一つない澄んだ青空の下。
小高い丘の上に建つ石造りの城。
一際高い主塔を囲むように張り巡らされた城壁の中庭に、剣と剣が弾き合う硬質で鋭い音が響き渡っている。


春の柔らかい陽射しが降り注ぐ円形の訓練場で、衣服の下にチェインメイルを装備した二人の騎士が、剣の稽古をしていた。
二人が繰り出すロングソードが、シュッシュッと空気を切るような音を立てる。


優勢に立っているのは、相手よりも一回りは小柄な騎士だった。
プラチナブロンドの長い髪を頭の後ろ、やや高い位置で一つにまとめてリボンで結んでいる。
――騎士は女性だ。


身長だけではなく、手足の長さ、体格、力……どれをとっても彼女の方が分が悪い。
しかし、俊敏性は圧倒的に勝っていて、男性騎士の攻撃をそれほど息を乱すことなく、サラッと交わし続けている。


男性騎士が繰り出した攻撃が空振り、その躯体がバランスを崩した。
女性騎士はその隙を見逃さず、剣の柄を素早く両手で握り締める。
距離を測るように一度足を引き、頭上高くに振り翳す。
彼女が手にするロングソードが、太陽の光を受けてギラリと光った。


「はあっ!」


男性騎士は頭上で刀身を横に構え、振り下ろされる剣の襲撃を防いだ。