勢いに流されるまま審神者になったが、具体的に何をすればいいのか分からない。
助けを求めてこんのすけの方を見ると何やら五振りの刀を背負ってきていた。

「審神者さま!それではこの五振りの皆様から一振りお選びください。その方が審神者さまの、初期刀となるお方です。」
「初期刀…初めての刀ってことですね。どうすれば?」

五振りを順に見ていくとある一振りで目が止まった。
これだ。
これしか、ない。
不思議とそう思った。

「審神者さま?」

美しい紫に冬の雪を散らしたような、拵。
これがぼくの、初期刀だ。

「決まったようですね!では顕現しましょう!手に持って…そうです。そのまま力を込めるように意識しながら名前を呼ぶのです。」
「力を…」

こんのすけの言うとおりにしていると、藤堂さんが微笑みながら言った。

「その方なら貴方様を必ずや導いてくださることでしょう。とても良い刀です。」
「そうですか…」

お腹のそこから力を込めるようにして、『その方』の名前を呼ぶ。

「こんな未熟なぼくですが、力を貸していただけませんか…?」

「『歌仙兼定』さま。」

ぶわり、と桜が舞った。