夕暮れ。辺りが、少し暗くなってきて、灯りのついた屋台の群れが見えてきた。

 キャラクターのついた、綿飴の袋が揺れてる。
 活気のある呼び込みの声が、響いて、親子連れや、カップルが、ぞろぞろと吸い込まれてゆく。

「わぁ、お祭りなんて、久しぶり。子供の頃以来だよ。」

 私は、思わず声を上げた。

「俺も。」

 私たちは、手をつないだまま、人々の流れに合流した。

「あっ、金魚。かわいい。」

「金魚すくい、やってみるか?」

 裸電球の下で、たくさんの赤や黒の金魚が、泳いでいる。私たちは、しばらく、その儚く美しい様を、眺めていた。