「陸、昴は大丈夫だよ」



休み明けの学校。


お昼休みに陸と飲み物を買いに屋上から出ると、私は陸にそう言った。


「…」

「…昴はきっと、随分前から大丈夫」


何も反応が無いのでもう一度言うと、大きなため息をつかれた。


…あれ?

私何か変な事言った?


「…そういうことじゃねぇよ。
昴が昔のこと吹っ切れてんのはもう知ってる」



陸はそう言って自販機にお金を入れてピッとボタンを押してジュースを買った。



「…どういうこと?」


私にはよくわからないんだけど。
…陸がよろしくって言ったの、この事じゃないの?


「俺が言うことじゃないから言わない」


陸はそう言うと私にジュースを買ってくれた。


「え?」


「違うけど、とりあえず礼」


"お礼"………


陸と昴の間には、なんだか他のみんなより違うものがある気がする。


なんだかこう……


もっともっと深い何か……



「ありがと」



行ってしまう陸に私も慌ててついていった。