「おっそいなぁ……アイツ何してんだろう………」


怒りと、呆れと、心配。


様々な感情が入り交じった私の言葉が、開かれた有名な作家が書いた分厚い小説に吸い込まれていった。


鷲森 小町《わしもり こまち》、高校2年生。


現在私は彼氏の蜂谷 港《はちや みなと》を、誰もいない学校の図書室で待っている最中である。


午前の授業を受け終わり、お昼ご飯を食べて、さっさと図書室にやって来た私。


しかし待ち合わせの相手のアイツが、待てども待てども来ないんだよね……


「早くしないとお昼休み終わっちゃうじゃない………」