梅雨に入って3日が経った。

最近は雨ばかり続いていたのに、今日は珍しい晴れの日。

そんな日の放課後、私は図書委員の仕事のために図書室へとやってきた。

すると、いつもなら私より早くいるはずの尚先輩の姿が無い。



「珍しいな……尚先輩、どうしたんだろう」



静かな図書室に、私の声がやけに大きく響く。



どうせ、今日も誰も来なさそうだし……。

何か、本でも読んでようかな。


そう思った私は、早織がよく読んでいた『よみがえり』というドラマの原作本を手に取り、受付のカウンター席に座る。


これは、死者が満月の夜に1度だけだけよみがえるっていうお話。



『まるで、今の私達みたいだね』


「早織……」


――ズキンッ。

寂しげに微笑みながら、私の手に握られた本を見つめる早織。

それに、胸が締め付けられて、痛んだ。



「満月の夜じゃないけど、そうだね……」



こうして、いるはずのない早織が、私の前に存在してる。

そう、この『よみがえり』みたいに。


ねぇ早織、早織はいつまで……私の傍にいてくれる?

そんな聞けもしないことを、心の中に押しとどめた。

単に、聞くのが怖かったのかもしれない。


明確にいつまで……なんて聞いたら、私は生きていけなくなるから。