煌びやかなネオンに

今日も人々は物語を築く


繁華街のとあるテナントにて

1人の女性もまた物語の歯車が動き出した………


「…お、金が必要なんです
30万いや…20万お金を貸していただけないでしょうか?」



此方とてそう簡単にお金を貸すわけには
いかない




闇金と聞けば一見危ういが


決まりさえ守ってくれりゃ
何も言うまい


ヤクザだって好き勝手してる
わけでわない


それなりに人情がある

【闇金融 】 日本において、ヤミ金融、ヤミ金、闇金などとも書き、国(財務局)や都道府県に貸金業としての登録を行っていない貸金業者


つまり命懸けなのだ


ヤクザの世界において

この世の法など皆無に等しい


闇金なんて足入れたら

この世界に従ってもらうまでのこと

当然のことなのだ


それをこの女はわかっておるのか


定かでわないのう


でもこれは私の仕事ではない

ここは御子柴組のシマであるため
見回りに来ただけ


全てはこの男に委ねている


『達彦、今日も励んでいるな
お主、金が欲しいなら私ではなくこの男に言うことだな』

そう言って背後に立っていた達彦に手を伸ばし、それに気づいた達彦も腰をかがめた。私は達彦の頬に触れ撫でた


『達彦、頼むな』


「それは勿論で御座います!
しかし、組長….….そう迂闊に男に触れては後で痛い目に合いますぜ、男は何するか分かり兼ねません。組長は自分の魅力にお気づきで?俺ぁ、勘違いします….….」



また、この話か…

触ることなどスキンシップであろう?

何を照れとるのか不思議でならんの


『そうか、それじゃったら
悪いことをしたな….….フフ』


ここは謝っとくのが策、


達彦は話が長いからな….….







美桜は気づいていない

何気ない
少しの微笑みでさえも


周りを惹きつけるものがある


達彦はもちろん、向かいの女、
ここに居る全ての者が胸が高まったに
違いない



フワフワ笑ったかと思えば
何を考えているのか全く読めない…


達彦は
“笑顔が似合う人ほど怖いものはない”
と….….….….….….