春の陽光が眩しい、春休み半ばのある朝。



(急がなきゃ…)



私は自然のまま伸ばしただけの濃色の長い髪をなびかせて駅のホームを疾走し、階段を駆け上がった。

今日は春期講習に通っている塾の模試。
それに遅刻しそうなのだ。



理由は朝から母と進路のことで喧嘩になったから。



塾は電車で二駅のところにある。

その駅はこの辺りでは比較的大きなターミナル駅で、春休みということもあり朝から混雑していた。

人波をぬいながらコンコースを急ぐ。



そんな中、私の正面に現れたのは大きなキャリーバッグの外国人観光客二人組。

その二人がやおら



「Excuse me!」



と声を掛けてきた。