ケータイ小説 野いちご

栄冠は君に……

けつだん Azu


野球部に入って2週間。

私には、まだ誰にも言えていない秘密があった。

遼くんにはバレてしまっているけれど。


「杏桜、みんなには、言わへんの?」


遼くんから、幾度となく聞かれた言葉。

言わない。

そう決めていたのに、思いがけずこんなに早く言わなくてはならないかもしれない。


「あず〜、明日検診やからな。はよ帰ってこいよ?」

9つ上の兄は、母子家庭の我が家ではすでに大黒柱。

母は今日も夜勤。幼い頃からそうだった。

少し年の離れた兄が、私にとって一番の保護者なのだ。

そう、あの時に私の異変に気づいたのも、にぃにぃだった。


「明日はひとりで行くから。お迎えはいいよ」

「だめ。俺も知りたいから」


少し過保護な部分だけは難点だろうか。

< 8/ 11 >