《莉乙side》



ホテルに戻る前に
お互い、親に見られたらめんどくさいからという理由で繋がれていた手は離れた。


ちょっと、名残惜しかったのは秘密。


そして、ホテルに入ってすぐお母さんたちが買い物袋をいっぱい下げて楽しそうに会話ひている姿が目に入った。


お母さんたちは旅行という名のショッピングしに来たの?

と、思ってしまうほどのたくさんの買い物袋の数。


あたしたちに気づくと、お母さんは笑顔で手を振ってくれる。



その横で翼くんのお母さんはニコッと可愛らしい笑みを浮かべている。


うわぁ、どうしてうちのお母さんと翼くんのお母さんが仲いいのかさっぱり分かんないよ。


性格が真逆な気がするんだけど……。


振り返さないと後でブイブイ言われるのがわかっているから、


あたしは仕方なく手を振るけど
恥ずかしいから小さく振り返した。


翼くんは笑顔で軽く会釈して歩き出す。


うわぁ、対応が大人だなぁ。
…って感心してる場合じゃない!!

あたしも慌てて翼くんについていく。