君のいない世界とは何なのだろう。






ふと、そんな言葉が俺の頭をよぎった。







そんなこと考えても君とはもう、会えないのに。






なのに、君との思い出のこの桜の木の下なら会えるきがして。





登ってきた朝日が桜を照らしてより一層綺麗にみえる。





もう、これも日課になった。





朝早く起きて朝日が登るのをここで待つ。







君はいつ、あの笑顔をまた俺に見せてくれる日が来るのだろう。




そんなことばっか考えてるから心配もかける訳で。





「あんた、大丈夫なの。」


そう話しかけてきたのは榎本楓(えのもとかえで)。


彼女も、俺を心配してくれる1人だ。




「あぁ。」




だから、余計に心配掛けたくないんだ。





正直言うと本当は来てくれて嬉しい



1人だと何するかわかないから。





辛いのは俺だけじゃないって分かるから。




本当は楓だって辛いはずなんだ。



なのに、いつも俺を心配してくれる。




なんで俺なんか心配してくれるんだよ。




「あ、今なんで俺なんかとか思ったでしょ。顔に出てるよ!」




俺の心情を見破ったのは佐伯秀(さえきしゅう)。





「別に、僕等が勝手に心配してきてるだけなんだからいいの。」



そうやっていつも俺を励ましてくれる。



それなのに俺は




「別に、来なくていいよ。」


素直になれないんだ。








どうして俺はあの時お前を助けられなかったんだ。





「どうして俺じゃ、無かったんだろう。」




「どうして、あの時あいつに出会ってしまったんだろう」






そんな自問自答の繰り返し。






出会わなければとか言うくせに出会ってよかった。って思うんだ。





そんな重い空気を助けてくれるようにアラームがなる。







もう、学校か。





そうやって今日もまたみんなで学校へ向かう。







ただ1人君という存在を除いて。