斬り合いとはいっても、剣は訓練用に作られたものなので、スパッと斬れたりはしない。


多少、あざはできたりするが。


その様子を見て、もう一人の青年が、くせのある群青の髪をくしゃっとかき混ぜる。


「いやぁ、まだまだですね。デュモル隊長」


隣のデュモルに話しかけつつ、腕を組み直し、兵士たちの斬り合いを見て目を細める。


「まぁ、骨のあるやつも多少はいますが」


デュモルは、副隊長であるユナを横目で見て、視線を兵に戻し、口を開いた。


「厳しいねぇ、ユナ。まっ、そのとーりだがな。第一陣撤退、第二陣前へ!!」


斬り合っていた兵士たちは動きを止め、ふーっと息を吐きながら、ぞろぞろと広場の中央から退散していく。


「いやぁ、お前なかなかやるなぁ」

「いやいや、お前こそ、昨日より倍くらい強くなってるぞ」


そんな一日やそこらで倍以上強くなるわけなかろうがぁっ、と叫びそうになるのを、デュモルはこらえた。


―――それに、お前ら程度で強いといえるなら、お前らよりもっと強いやつは何だ。化け物か。言っとくが、そしたらそこらじゅう化け物だらけだぞ!?