【隼斗side】



『あんたなんか大嫌い』



大きな瞳に涙を溜めながらそういった彼女。


はぁー……俺は何やってんだよ。


放っとけなかった。


道端で倒れた好きな人を
ほっとけるほど俺は冷たい人間じゃない。


心配で心配で…堪らなかったんだ。


ただ、それだけだったのに…
俺は本能のままに愛咲を抱きしめてしまった。


こんなつもりじゃなかった…。


といったら言い訳にしか聞こえないだろうけど、

俺だってもう愛咲のことは忘れて、雪乃と一緒になることを決意したはずだった。


だけど、そんな簡単に忘れられるほど
愛咲を軽い気持ちで好きだったわけじゃない。


何年も好きだったんだ…
いや、今も実際は好きなまま。