橙夏side
やばい...あの緑川君の笑顔が頭から離れないよ...
緑川君を見るとドキドキするし緊張するし...
...なんでなの...?
彩花には
「それは恋なんじゃない?珍しいね。橙夏が恋なんて」
って言われたけど...全然実感ないよ〜...
たしかに漫画とかでは、主人公の女の子がドキドキしてるけど...ほんとに自分がその状況になるなんて...
あぁ〜...もうどうしよう
...今までまで通りにすればいいよね?
うん、そうだよ。今まで通り...今まで通り...
って無理だよ!!
「さっきからどうした?ついに頭おかしくなった?」
ちょ、見られてたの...
急に隣の席の加山が話しかけてきたことに少しだけ驚く。
「な!元からおかしくないです〜」
「は?嘘だろ?」
「本当です。こんなとこで嘘なんかつきませーん」
「まぁ、確かにな」
とお互いに笑って、加山がほかの男子に呼ばれて行った。
加山はクラスの中でも仲のいい方。中学校から一緒の同級生だし、家が近いのも理由。
先生からの雑用を終わった彩花が戻ってくると、すぐさま私は彩花のところへ行った。
「あ、橙夏。どう?話しかけれた?」
「...無念です。」
「もう、何してんのよ。さっさと話しかければいいのに」
「そう簡単じゃないよ〜」
「簡単よ。口開けて、声出せばいいの。ほらこうやって」
「ちょ、口をこじ開けないで...痛い...もふ、いひゃいよあひゃか」
「ごめんごめん...でも、好きならアタックあるのみでしょ?」
彩花のその前向きさが欲しいよ...
なんでこんなに悩むんだろう...
周りの女の子みたいに可愛くなれればそれなりに自信につながるんだけど......
あぁー可愛くなりたいよ〜!!
「あ、ほら、緑川、お昼買って戻ってきたよ」
「ほ、ほんとだ...」
緑川君ってお昼はパンなんだ...
緑川君の友達の水野君の席が彩花の二つ前だから、お昼の席が結構近いんだよね...
「それにしても、緑川と一緒にいる水野は宿題をギリギリに提出するわ、遅刻するわ、掃除はしないで帰るわ...問題児を代表したようなやつよね...」
「まぁまぁ、掃除、私も忘れる時あるし」
「ちょっと?橙夏さん?」
「あはは〜さぁて、お昼食べましょお昼。」
「話をそらさないのー」
「てへっ」
「まったく...」
彩花とのトークを楽しんでいると、会話に来週にあるクラスマッチの話が出てきた。
クラスマッチかぁ...今年は何やろうなぁ...
1年生の時はテニスに出たし、2年生の時はバスケに出た。
今年は何に出よう...リレーとか?
走る競技は一回もしたことないから、案外楽しいかもなぁ〜
「ちょっと聞いてる?」
「あ、ごめん彩花。別次元に行ってた」
「こわいわ。て、それより、私また実行委員になったの。クラスマッチ後にどんなご褒美みたいなものがあったら面白いと思うか、考えないといけないんだけどね?一緒に考えてくれない?」
「いいよ。どんな感じでもいいの?」
「うん。まぁ、できる範囲でって言ってた。」
できる範囲かぁ...
じゃあパン食い競争ならぬ、おにぎり食い競争とか?
「それどうやっておにぎり浮かすの?てか、競争ってご褒美じゃないじゃない」
「ん〜...ハンドパワーとか?...た、たしかに」
「誰がハンドパワー使えるのよ。まったく...」
じゃあ...バーベキューとかは?
「出費がかかるわね、でも面白そうだから提案してみるわ。他には何かある?」
「んー...特にないかな?」
「じゃあ、それを提案してみるわね」
「うん!ありがとう!...あ!でもダイエット中だ...」
「ダイエットする肉なんて、どこに付いてるの」
どこって...見ればわかるでしょ!?
わざわざ言わせないでよね!
「腹だよ腹!このまーるいおなか!」
「太ってないくせに...イヤミ〜」
「イヤミじゃないしーもう!彩花ちゃんったら!」
彩花こそ、全く太ってないスタイル抜群のくせに!
ていうかもうちょっとお肉をつけた方がいいと思うんだよね!
なんならあげるよ!私の脂肪分!
そんなバカな会話をしていると先生が彩花を呼んだ。
多分、クラスマッチの事だろう
彩花がお昼を片付けて、じゃあ行ってくるね、と言ってきたので返事をして、しばらく彩花の席に座ってたけど
なんか忘れてる気がして自分の席に戻ると...
「...やばい......携帯がない...」
私はいつも彩花が実行委員会や先生に呼ばれると携帯で小説を読んでいるから、ふと、いつもと違う違和感に気づいた。
そうだ...携帯がない...
一時間目の移動教室には持ってってないし...持ってった所なんてどこにもないよ...だっていっつも、机に入れてるんだもん...
あ、でも...朝、少し早く来たから中庭のベンチでゆっくりしてたとき...携帯で小説見てたから...そのときかもしれない...
中庭へ探しに行こうとした時
ちょうど予鈴が鳴った。
あ〜もう...タイミング悪すぎ...
しょうがないから、放課後に中庭を探しに行くことにした。