満月なのかちょっと欠けているのか、はっきりとしない中途半端な月が浮かんでいる。
ぽっかりと夜空に穴を開けたような月を見ながら、酔いを醒ますために駅から歩いて帰っていた。
何故だか巧と。
(社長に付き合わされて遅くなった時だけ泊まりに来てたくせに。用も無くうちに泊まるなんていきなり怪しすぎじゃないかな)

と、思いつつも心臓がドクドク緊張して高まっていく。

今日も私のベッドに忍び込むつもりだろうか。
いや、恋人ならば忍び込む必要もなく一緒に眠るよね。
でも同じ階には、親だっているし。

「あいつら無事に帰ったかな。すっげえ酔ってたよな。竜崎と森元さん」

「あ、そうだね。でも立花さんがいるから竜崎は心配ないよ。森元さんは仲良しな先輩達がなんとかするんじゃないかな?」

「ふうん」

「!?」

話ながら、急に伸びてきた巧の手に、指が絡まった。