ある日の会社帰り、本屋に立ち寄った。
趣味のコーナーに行き、水草水槽の作り方が載っている本を探してみたものの、見つからない。

仕方が無いので今度は熱帯魚の飼い方についての本を探してみた。
それはすぐに見つかった。


「どれどれ」


手に取って読んでみると、仕事中にこっそりネットで調べた初心者向けのアクアリウムの作り方と、ほぼ同じ内容が掲載されていた。

聞いたことのない名前のアイテムがずらりと並んでいて、揃えるとなるとかなりお金がかかりそうだ。


やっぱりこれは高尚な趣味なんだ……。


そう思って諦めることにした。
水草水槽は、人の家で見るに限る。

……とは言っても、見たいと思ったって沖田さんちに行かないと見られないんだから、もう見ることは出来ないかもしれないな。

「水草水槽を見に行ってもいいですか?」なんて軽々しく頼んで遊びに行くのもおかしな話だし。

ていうか、厚かましすぎる。


パタンと本を閉じて、本屋を出て歩き出した。



数日前の、山口とのファミレスの時のことを思い出していた。