野中 郁、十七歳。
このままじゃ、お嫁にいけません!
至急、彼氏を募集中。
※兄達には内緒で。だけど...
PM7:30
「お兄ぃ、なんで....何で、うちの部屋におんの?」
高校二年、二学期の始まり日。
重たい体を起こして、ほぼ部活でなかった夏休みが終わって...
機嫌は最悪、なのに....
「なぁ、郁。学校は送っていってやっから、残りの夏課題終わらせなよ、な?」
私の聞いたことは無視。
何勝手に部屋の鍵開けて居座ってやんの。
ってか、夏課題の事黙ってたのに何で分かってんの?
....
......あ。
(察)
「愛(あき)から聞いたん。....あーもぉっ!」
髪を治す時間なんて、こんな'' 鬼ぃちゃん ''が部屋にいたらできない。
夏課題なんて、後で学校で居残りでも何でも受けてやるから後にして!
学期はじめの女の子の準備時間舐めんな。
馬鹿野郎。
大体仕事はドオシタ。
弁護士が家にいていいの?...
普通、忙しくて家にいないイメージの職業だよ。
「こっちだってたまに休暇とんの。郁、逃げんな。」
逃げてない。
「ヤダ。....顔だって洗ってないしまだ何の準備だってできてない。課題はちゃんと出すからっ。あっち、いってて。」
「わぁった。できたら車出すから声掛けろ。」
ぁあ。よりにもよってお兄に、新(あらた)に捕まるなんてついてない。
うちのライオン1号。
長男、野中 新。二十七歳
黙ってれば、格好がつくし。
優しい、頭いい、女子力高いのに..
ただ、私の私生活に異常をきたす馬鹿者。
ぁあー、女姉妹なら違ったのになぁ。
「愛の奴、後で痛み目みせてやる。あーあ、いい加減、子供じゃないってのっ。」
時間に余裕あるように起きたのに、時間が全然ない
二階が私の部屋、三階と一階の二部屋がお兄達の部屋になってて、一階の残りの部屋は共有スペース。みたいな間取りなんだけど、ほぼ共有スペースがお兄達の居場所みたくなってて私なんかあんま使ってない。
だから、一階に降りるのは体力がいるんだ。
うちのライオン達は面倒な程過保護だから。
「...おはよ。」