「ふぁあ…。」

情けない声と欠伸をかましながら、私は学校に向かってる。
今は、大体2限目くらいだろう。
私が通ってる学校は、いわゆる、不良学校。
こんなことは日常茶飯事で、先生も別に怒らない。
いや、軽くは怒るけど怖くない。

「こらぁ!猫田!」
「んあ?」

担任の霜田____通称、しもD____の声が上から聞こえたので、何事だ、と思いながら、上を向いた。
案の定、しもDがいた。

「おはよー、しもDー。」
「おはよう、じゃないぞ!
今何時だと思ってる!?
もう9時30分だぞ!!
3限目は体育だ!さっさと来い!」

それだけ叫んでしもDは、生徒玄関の上、丁度二階の職員室の窓をぴしゃんっ、と閉めた。
てか、3限目体育かー、だるー。
そう思いつつ、私はのそのそと、生徒玄関に入っていった。

「あ。」
「あっ!」

今日から、生徒会役員の挨拶週間だっけ。
遅刻したらめっちゃ怒られる週間じゃん。
しまったー!

「遅刻者発見!
2年A組、猫田 美音!」
「あっ、ごめんなさい。
今日母親の体調が悪く、しばらくの間、看病をしてて、遅れました。
今は体調が改善されたのですが…、本当にごめんなさいっ!」

名字が猫田なだけあるだろう?
猫を被るのは大の得意。
嘘なんかさらさらと吐けまっせ。

「そうなのですか!
これは失礼しました!」

それに簡単に騙される生徒会役員も役員だな。
ちょろい。

「そんなわけねぇだろ。」

後ろから聞こえた、嫌でも聴き馴染んだ声に、私の背筋は震えた。

「こ、これは生徒会長さん…。」

いつも、私は目撃されるのだ。
常習犯だと知られたら、

「こいつ、猫田 美音は_____」
「次体育なので失礼します!!」
「あっ。」

生徒会長なんかといたらロクでもないことはばかりが起きる。
今日は流石にごめんだ!!
そう思いつつ、私は階段を駆け上った。